マグネシウムの経皮吸収を謳った商品などの口コミにおいて、以下のような声が記載されることがあるようです。
「マグネシウムの経皮吸収は嘘だ」
「マグネシウムが皮膚から浸透するなんてデマでしょ?」
「皮膚から成分が吸収されること自体信じられない」
インターネットで検索すると、どちらともとれる判断しづらい情報が飛び交っているのがわかるかと思います。
特に、SNSや個人ブログでは根拠の乏しい発信も多く、何を信じれば良いのかわからないという方も多いでしょう。
この記事では、マグネシウムの経皮吸収は本当なのか嘘・デマなのか?
気になるあなたに、その真相を研究論文など信頼できるエビデンスを元に、マグネシウムの経皮吸収について徹底的に検証します。
【噂の真相】「マグネシウムが経皮吸収される」は嘘?

マグネシウムは経皮吸収されるのか?それとも嘘なのか?
結論からお伝えすると、「マグネシウムは経皮吸収される」と考えられます。
果たして、なぜそう言えるのか?
その詳細は次章から順を追って解説していきます。
マグネシウムの経皮吸収に関するエビデンス

マグネシウムの経皮吸収の真相を解明する前に、より理解を深められるよう経皮吸収のメカニズムについて確認し、その後、マグネシウムの経皮吸収を証明する論文を見ていきましょう。
経皮吸収のメカニズムとは?
経皮吸収とは皮膚の表面から成分が浸透し、体内に取り込まれる現象を指します。
皮膚は外側から「表皮⇒真皮⇒皮下組織」の3層構造になっており、表皮の最外層には「角質層」という外部からの異物を防ぐ強力なバリア機能を持った層があります。
ただし、このバリア機能を通過できるものが、脂溶性の成分(油に溶けやすいもの)や分子量が小さい成分です。
そして、塩化マグネシウム(マグネシウムオイル)や硫酸マグネシウム(エプソムソルト)などは一部の研究で経皮吸収が確認されています。
つまり、一定の条件下であれば、マグネシウムは皮膚から体内に届く可能性があるのです。
経皮吸収や経皮吸収のメカニズムについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。


マグネシウムの経皮吸収に関する研究論文
ここからはマグネシウムの経皮吸収を科学的に裏付ける論文を紹介します。
以下は2010年に海外で行われたマグネシウムの経皮吸収に関する研究論文です。
調査目的 | マグネシウム塩化物(31%)を含むオイルを12週間使用することで、血清マグネシウムレベルや体内のカルシウム・マグネシウム比にどのような影響を与えるかを調査 |
調査対象 | 9名の被験者(22~69歳) |
調査結果 | ・細胞内のマグネシウムレベルが向上した・被験者の89%が細胞内マグネシウムの増加を記録・平均増加率は 59.7%・経口摂取では同程度の効果を得るのに9〜24ヶ月かかるとされているため、経皮吸収が短期間で効果を示したと考えられる |
調査結論 | “This study confirms that transdermal application of magnesium in the chloride form will raise magnesium levels within the body over a relatively short period of time.” 「本研究は、塩化物の形でのマグネシウム経皮吸収(投与)が、比較的短期間で体内のマグネシウム濃度を上昇させることを確認しました」 |
参照:A pilot study to determine the impact of transdermal magnesium treatment on serum levels and whole body CaMg ratios|European Journal for Neutraceutical Research
マグネシウムの経皮吸収に関してはこちらの論文だけでなく、以下の記事でも取り上げているので、ぜひ確認してください。
マグネシウムの経皮吸収に関しては、現段階ではまださらなる検証が必要ですが、決して「嘘」や「デマ」ではないということがご理解いただけると思います。

「マグネシウムは経皮吸収される」が嘘・デマとして認識されるワケ」

「マグネシウムが経皮吸収されるのは嘘(デマ)だ!」という声はあくまで噂に過ぎません。
なぜなら、実際には先ほどのようにいくつかの信頼性の高い研究で、皮膚を通じてマグネシウムが体内に取り込まれる可能性が示唆されているからです。
それにも関わらず、なぜマグネシウムの経皮吸収は嘘・デマだと言われてしまうことがあるのか?
それには以下のような理由が考えられます。
- 経口摂取と比較した場合、経皮吸収には明確なデータが不足しているため
- 皮膚のバリア機能の特性上、一部のマグネシウムが吸収されにくいのは事実なため
- 粗悪なマグネシウム製品を使った方の一方的な情報が、誤解されて伝わっているため
特にインターネット上では誤った情報が拡散されやすく、根拠のない体験談だけが一人歩きしてしまうという一面があります。
こうした背景が「経皮吸収は嘘・デマ」というイメージを助長してしまっているのかもしれません。

クリニックにおいて、カナダではこの議論にたびたび直面していました。このようなテーマについて検討する際に考慮すべきは、「証明のための2つの側面が存在する」という点です。
1つ目は、理論的な側面です。これは、PubMed、Medline、ResearchGate、Orthomolecular Medicine Journal(整合栄養医学誌)などのデータベースに掲載されている科学論文に見られるものです。こうした文献では、臨床観察や症例研究が行われ、仮説や理論的な可能性が検討されます。
2つ目は、実際の臨床経験です。ある治療物質(たとえば経皮マグネシウム)の有用性が考えられる場合、臨床家はまず自らの患者に試し、その効果を観察します。そして、効果が見られれば使用を継続します。
経皮マグネシウムは、長い医療利用の歴史があり、何世紀にもわたって使用されてきました(たとえば温泉などがその一例です)。
仮に、マグネシウムや他のミネラルの経皮塗布が効果を示さなければ、医療従事者はすでに別の方法に切り替えているはずです。
私自身の経験でも、経皮マグネシウムは患者にとって非常に有益であるため、長年にわたり使用してきました。
マグネシウムを効果的に経皮吸収させる3つの方法

マグネシウムを効果的に経皮吸収させる3つの方法を以下でご紹介します。
- 経皮吸収しやすいマグネシウムの商品を利用する
- 経皮吸収率の高い部位に塗布する
- 入浴剤・バーム・クリームなど適宜活用する
経皮吸収しやすいマグネシウムの商品を利用する
マグネシウムの経皮吸収を高めるには、吸収性に優れた製品を選ぶことが重要です。
たとえば、塩化マグネシウムをベースとした「マグネシウムオイル」や、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)などは高い吸収性が報告されています。
これらの製品は、分子サイズが小さく水溶性なため、皮膚への浸透が期待できます。
市販の製品を選ぶ際は、成分表を確認し、有効成分の濃度や配合形態のチェックが大切です。
品質の高い製品を選ぶことで、より確実にマグネシウムを体内に届けることができるようになるでしょう。
経皮吸収率の高い部位に塗布する
経皮吸収の効果を高めるためには、塗布する部位の選び方も重要です。
一般的に、皮膚が薄い部位や血流が多い部位は吸収率が高いとされています。
特に陰部は吸収率が高い分、皮膚が非常に薄く、敏感な箇所なため、刺激の少ない製品を使用するようにしましょう。
経皮吸収率の部位ごとの違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらも合わせてご覧ください。

入浴剤・バーム・クリームなど適宜活用する
日常生活の中で無理なくマグネシウムを取り入れるには、入浴剤やバーム、クリームといったアイテムの活用が効果的です。
特に入浴剤は広範囲の皮膚からマグネシウムを取り込むことができ、リラックス効果も得られるため一石二鳥です。
また、クリームやバームは気になる部位にピンポイントで塗布でき、持ち運びにも便利です。
生活スタイルに合わせて複数のアイテムを使い分けることで、継続しやすく、経皮吸収の恩恵を最大限に活用できます。


まとめ:マグネシウムの経皮吸収は嘘・デマではなく、科学的に真実性が高い
今回はマグネシウムの経皮吸収は嘘・デマなのかについて、経皮吸収に関する研究論文を用いて解説してきました。
結論ですが「マグネシウムの経皮吸収は嘘」「それはデマだ」と断言するのは誤解であり、現段階でも複数の研究によって、マグネシウムの経皮吸収の可能性が示されていることから、マグネシウムは経皮吸収される可能性が高いと考えられます。
インターネット上の情報を鵜呑みにせず、エビデンスを冷静に見極めながら、賢くマグネシウムを取り入れていきましょう。