筋肉とグネシウムの関係:マグネシウム不足チェックも!

マグネシウムは筋肉の弛緩、カルシウムは収縮に関わっている、必須ミネラルです。この記事では、筋肉にマグネシウムが必要な理由や筋肉痛との関係、そしてマグネシウムで筋肉をケアする方法など、詳しく説明しています。

筋肉にマグネシウムが必要な理由

筋肉とグネシウムの関係:マグネシウム不足チェックも!

筋肉について

筋肉にとってマグネシウムはとても重要ですが、その理由を知る前に、まずは少しだけ、筋肉の構造についてお話したいと思います。

筋肉は基本的にぎゅっと収縮したり、ゆるんだりすることで動いています。腕を曲げると力こぶができるのは、上腕二頭筋に力が入って収縮し、腕を伸ばすと上腕二頭筋の力が抜けて筋肉がゆるみます。体にある筋肉は全てこうした単純な原理で動いています。

「体にある筋肉」とお伝えしましたが、これはボディービルダーや筋トレをする人たちが鍛えている表面的な筋肉だけではありません。指を動かすのも、瞼も、口も、喉から声を出す時も、心臓も、筋肉の力で動いています。

筋肉は意外と体の内にも外にも存在し、私たちを支えているのですね。それではこの筋肉に対して、マグネシウムがなぜ必要なのか、詳しく見ていきましょう。

筋肉にはマグネシウムが必要

筋肉の筋収縮と弛緩

筋肉は収縮と弛緩で動いているとお伝えしましたが、実はここにマグネシウムが影響しています。

収縮にはカルシウム、そして弛緩にはマグネシウムが必要なのです。

マグネシウムは自然なカルシウムブロッカーとして機能し、筋肉が収縮後に弛緩するのを助けます。十分なマグネシウムがないと、筋肉が収縮したままになり、痙攣やけいれん、足のつりやこむら返りを引き起こす可能性があるのです。
カルシウムが筋肉の収縮を引き起こし、マグネシウムがそれを抑制するため、両者のバランスが重要。

特に運動や疲労でマグネシウムが消耗されている時には、筋肉の回復において、マグネシウムの補給が大切です。

エネルギー生産

マグネシウムはATP(アデノシン三リン酸)の生成に関与しています。

ATPとはエネルギーを細胞に届ける役割をしている分子で、マグネシウムが不足してATPが充分生成されないと、エネルギーを細胞に届けることが難しくなるのです。
ATPは筋肉の収縮に必要なエネルギー供給もおこなっているため、ATPの生成が効率的でないと、筋肉の疲労が早まり、パフォーマンスが低下すると考えられます。

タンパク質合成

マグネシウムは、筋肉の修復と成長に必要なタンパク質の合成に関わっています。
リボソームの機能をサポートすることで、タンパク質合成を促進しているのです。

タンパク質は筋肉の主要な構成要素であり、その合成が十分でないと筋肉の回復や成長が妨げられます。

電解質バランス

マグネシウムは電解質バランスを維持して、筋肉機能と水分補給を調整します。

電解質は細胞内外の水分移動を調整し、筋肉の収縮や神経伝達をサポートするもの。
特に長時間の運動や高温環境での活動中には、電解質のバランスが崩れやすいため、マグネシウムの補給が重要です。

このように、マグネシウムは筋肉にさまざまな影響があることがわかりました。特にマグネシウム不足の場合、こむら返りなどの症状が出やすい人も多いです。下記ではマグネシウムとこむら返りについて、対策も含めてさらに詳しくお伝えしています。

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筋肉に含まれるマグネシウムの量:セルフチェックも!

筋肉とグネシウムの関係:マグネシウム不足チェックも!

体内のマグネシウムの約60%は骨や筋肉に保存されています。筋肉内のマグネシウムは細胞内液に集中しています。成人の体内には平均約25グラムのマグネシウムが含まれており、その多くが筋肉組織に存在します。
このミネラルは、細胞活動に重要なマグネシウムイオンとして分布しています。

ただし、体内でマグネシウム不足が起こると、まずは血液中のマグネシウム値を保つことが優先されるため、筋肉や骨からマグネシウムが血中に送られます。すると筋肉細胞のマグネシウムが不足して、こむら返りが起こったり、筋肉の疲労や筋肉痛がなかなか改善しなかったりするのです。

逆に、マグネシウムの不足は一般的な採血検査などではわかりにくい場合があります。それは先ほどお伝えした通り、血中のマグネシウム値は筋肉よりも優先されるため、基本的には平均値を保っているため。

こうした理由から、医師もマグネシウム不足を確認する際には、問診や症状ベースから診断することが多いです。下記では30秒でできるマグネシウム不足テストがありますので、ぜひチェックしてみてください。

マグネシウム不足自己診断テスト マグネシウム不足自己診断テスト

マグネシウムと筋肉の関係:論文をご紹介

筋肉とグネシウムの関係:マグネシウム不足チェックも!

海外ではマグネシウムをサプリで摂り入れる習慣が一般化しつつあり、多くの研究や実験もおこなわれています。今回はその中でも筋肉に関連しているものご紹介します。

マグネシウムと筋肉の関係
論文①筋痙攣とマグネシウム

American Journal of Clinical Nutritionに掲載された研究では、アスリートの筋痙攣の頻度と強度がマグネシウム補給により大幅に減少したことが示されました。

方法

筋肉のけいれんを引き起こすような強度のトレーニングをおこなう被験者に、1日350㎎のマグネシウムサプリメントを摂取してもらいました。

参加者

9名の男性と13名の女性

結果

主観的筋肉痛の軽減:マグネシウム補給グループは、対照グループと比較して筋肉痛が有意に軽減しました。

パフォーマンスの向上:運動後の筋肉回復感が向上しました。

血糖値の変化:運動後の血糖値に対する有益な効果が観察されました。

これらの結果は、マグネシウム補給が運動後の筋肉痛を軽減し、回復を促進する可能性があることを示唆しています。

参照:Magnesium sulfate enhances exercise performance and manipulates dynamic changes in peripheral glucose utilization

マグネシウムと筋肉の関係
論文②運動誘発性筋肉痛の研究

こちらはJournal of Sports Science & Medicineに掲載された研究で、マグネシウム補給が運動誘発性筋肉痛に及ぼす影響が調査されました。この研究は実際に研究をおこなったわけではありませんが、数多くのマグネシウムに関連する研究が実際に正しい影響力を持つのは判断するリサーチです。

方法

主要な論文サイトなどから、関連する論文を検索し、1254件の論文を検出。それらをスクリーニングし、4件が最終的にレビューの対象として適格基準を満たしていると判断し、内容をまとめた。

参加者

4つの研究で、計73名(60名の男性と13名の女性)が参加した。

結果

MgSは筋肉痛を軽減し、パフォーマンスと回復を改善し、筋肉の損傷に対して保護効果を示した。

激しい運動に従事する人々は、静止した人々よりも10〜20%高いマグネシウム摂取量を推奨され、運動の2時間前にサプリなどで摂取することが推奨されることがわかった。

参照:Effects of magnesium supplementation on muscle soreness in different type of physical activities: a systematic review.

健康な筋肉にとって必要な最新のカルマグ比率

カルマグ比

筋肉の健康を維持するためには、カルシウムとマグネシウムのバランスを保つことが重要です。

昔はカルシウムとマグネシウムの比率が4:1が良いと言われていましたが、さまざまな研究が進むにつれて、現在は一般的に2:1が推奨されています。海外では1.5:1や1:1を推奨している場合もあり、マグネシウムの重要性がより理解され始めています。

重要なのは、現在こむら返りやひどい肩こり、眼精疲労による瞼などの痙攣、筋肉痛などがある場合には、マグネシウムを多く補給するなど、自分自身の内側の声に耳を傾けながら栄養素を調整すること。

また、

  • 小麦粉や砂糖、白米などの精製食品をよく食べる人
  • コーヒーやお酒をのむ人
  • 激しい運動をする人
  • 睡眠にお悩みがある人
  • 疲れが溜りがちな人
  • 暑い季節

などの場合にもマグネシウムが失われやすくなります。食事やサプリなどでマグネシウムを意識的に摂り入れましょう。

マグネシウムで筋肉をケアする3つの方法

筋肉とグネシウムの関係:マグネシウム不足チェックも!

マグネシウムで筋肉をケアするためには、食事、サプリメント、および外用剤の使用が含まれます。

WHOでは成人男性の推奨摂取量は1日あたり400〜420mg、成人女性は310〜320mgですが、多くの人が不足しがちな栄養素とも伝えています。筋肉の健康のためにマグネシウムを摂取する方法は大きく分けて3つ。
下記で詳しくお伝えします。

食事によるマグネシウムの摂取

基本的にマグネシウムに限らずすべての栄養素に言えるのは、バランスの取れた食事から摂取するのが最善であるということです。マグネシウムが豊富に含まれる食材は以下の通り。ぜひ積極的に摂り入れてみてください。

緑の葉野菜

ほうれん草、ケール、スイスチャードはマグネシウムの優れた供給源です。
これらの野菜は、マグネシウムだけでなく、他の重要なビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。

ナッツと種子

アーモンド、かぼちゃの種、ひまわりの種は多くのマグネシウムを含んでいます。
これらは手軽に摂取できるだけでなく、健康的な脂肪やタンパク質も提供します。

全粒穀物

玄米、キヌア、オーツは良いマグネシウム源です。
これらの穀物は、炭水化物としてエネルギーを提供し、食物繊維も豊富に含まれています。

豆類

豆、レンズ豆、ひよこ豆はマグネシウムが豊富です。
これらは植物性タンパク質の供給源でもあり、ベジタリアンやビーガンの食事にも適しています。

下記ではコンビニで買えるマグネシウムが豊富な食品をご紹介しています。「あれ?」と思い当たる人はぜひこちらも併せてご参照ください。

コンビニで買えるマグネシウム食品10選!手軽にマグネシウム補給!

マグネシウムサプリメント

マグネシウムは基本的に食事から摂取するのがベストであるとお伝えしましたが、なかなか充分な量を摂取するのが難しいとも言われています。というのも、現代人の食事はマグネシウムが少ないだけでなく、小麦や白米、砂糖などマグネシウムを消耗しやすい傾向にあります。また、土壌や海の汚染などの環境の変化も影響して、原材料に含まれるマグネシウムやその他栄養素の含有量も減少しているといわれています。実際にマグネシウムを十分に補おうとした場合の一食分をAIでシミュレーションしてみると以下の通り。こうした食事を毎日一日3食とって、やっと充分に補えるのです。そのため、すでにマグネシウム不足を感じている人は、マグネシウムをサプリメントで補うのがベター。

サプリメント

サプリメントは、吸収率や効果に違いがあります。便秘薬でもマグネシウムの一種である酸化マグネシウムが処方されますが、これは細胞内にマグネシウムを取り込むには適していない種類です。

昔から使われる塩化マグネシウムや、細胞膜と同じリン脂質のカプセル・リポソーム化したマグネシウムなど、吸収率を考慮したマグネシウムサプリを摂り入れるようにしましょう。

下記では塩化マグネシウムをリポソームで包んだサプリ、マグリポをご紹介しています。

経皮吸収

実はマグネシウムは経口摂取だけでなく経皮から摂取する方法も有名です。特にマグネシウムを摂取して下痢や胸やけなどの反応が出やすい人は、まずは経皮吸収を試してみるのもいいかもしれません。もちろん経皮吸収したマグネシウムが内臓や体の内部にまで届くというわけではありませんが、こむら返りや眼精疲労、肩こり、肌トラブルなど表面的なお悩みの改善をサポートしてくれます。経皮吸収の方法には主に2パターンがあります。

マグネシウムバーム

マグネシウムオイルを肌に塗布すると、筋肉のリラックスと痛みの軽減に役立ちます。マグネシウムの経皮吸収には入浴剤に入れて使われるのが一般的でしたが、湯舟から出ると吸収はストップします。

そのため、近年は肌に直接塗るタイプの人気が高まっています。バーム以外にも、オイルスプレーやクリームタイプのものなどバリエーションも増えてきているのがうれしいポイント。

ただし、マグネシウムを肌に塗ると刺激が強くひりひりすることも多いため、製品選びには気を付けましょう。

エプソムソルトの入浴

エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を使った入浴は、筋肉の痛みを和らげ、リラックスを促進します。温かいお湯にエプソムソルトを加えることで、マグネシウムが皮膚を通じて吸収されます。

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まとめ

今回はマグネシウムと筋肉の関係についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか?
マグネシウム不足のサインを感じた人はぜひこの記事をご参考ください。