マグネシウムとビタミンDは、体内のすべての臓器で利用され、私たちの健康と病気に深く関わっています。
しかし、日本人の大多数はマグネシウムとビタミンDがともに不足しているにも関わらず、一般的にその重要性と認識が低いのが現状です。
今回はマグネシウムとビタミンDの関係や働き、摂取方法、1日の摂取基準量について解説します。
最後までお読みいただければ、マグネシウムとビタミンDにはどんな関係があるのかがわかるようになるだけでなく、具体的な摂取方法を知ることでご自身の健康管理に役立ちます。ぜひ参考にしてください。
マグネシウムとビタミンDの基本情報

マグネシウムとビタミンDの関係性を理解しやすくなるよう、まずはそれぞれの働きや効果について確認しておきましょう。
マグネシウムとは?
マグネシウムは、体内のさまざまな酵素の働きを助ける必須ミネラルの一つです。
体内で600種類以上の化学反応(酵素反応)に関与しているといわれており、私たちの体や心の健康をサポートしています。
マグネシウムは、特に次のような重要な生体反応を助けています。
- エネルギーの生成
- タンパク質の合成
- 筋肉と神経の正常な働き
- 血糖値の調整
- 心臓と血圧の調整
- DNAやRNAの合成・修復
このようにマグネシウムは「酵素の補助因子」として働き、多くの酵素を活性化する役割を担っているのです。
ビタミンDとは?
ビタミンDは「脂溶性ビタミン」の一種であり、骨の健康維持に不可欠な栄養素です。
特にカルシウムやリンの吸収を助ける働きがあり、健康な骨を維持する上でビタミンDは欠かせません。
ビタミンDは、日光(紫外線)を浴びることで体内で合成されるほか、魚類、卵黄、キノコ類などの食品からも摂取できます。
ビタミンDは主に以下のような働きと効果があります。
- カルシウムの吸収を助け、骨や歯を強くする
- 免疫力を高め、感染症を予防する
- 筋肉を強くし、転倒やケガを防ぐ
- 心臓や血圧を健康に保つ
- 気分を安定させ、うつ症状を予防する
以上のことから、ビタミンDもマグネシウムと同様に、私たちの体と心の健康維持に必須の栄養素だと言えます。
マグネシウムとビタミンDの相互作用による健康効果

マグネシウムとビタミンDは、それぞれ健康維持に重要な栄養素ですが、これらを組み合わせて摂取することで、より大きな効果が期待できることをご存じでしょうか?
マグネシウムとビタミンDは相互に作用し合い、健康をサポートします。
マグネシウムはビタミンDの活性化に必要なミネラルであり、不足するとビタミンDの働きが十分に発揮されません。
また、ビタミンDが適切に機能することで、カルシウムの吸収が促進され、骨密度の維持や免疫機能の強化につながります。
そのため、これらの栄養素を適切に摂取することで、骨の健康維持や筋肉の正常な機能が保たれるのです。
海外の論文では、マグネシウムとビタミンDの相互作用によって高齢者の認知機能の改善につながる可能性が示唆されています。
研究データ元 | 2011年〜2014年の米国国民健康栄養調査(NHANES) |
対象者 | 60歳以上の2,466人 |
結果 | ・マグネシウムの摂取量が多いほど、認知機能が高い傾向がある。 ・ビタミンDの状態が十分な人は、マグネシウム摂取量と認知機能の関係が特に強くみられた。 ・血中ビタミンD濃度が高い人も、認知機能低下のリスクが低かった。 |
調査本文より | “Findings suggest that high magnesium intake alone may improve cognitive function in older adults, and the association may be stronger among subjects with sufficient vitamin D status.” 「この研究の結果は、マグネシウムを多く摂取することで、高齢者の認知機能が向上する可能性があることを示唆しています。 また、ビタミンDの状態が十分な人ほど、この関係がより強く現れる可能性があることも分かりました」 |
マグネシウムとビタミンDが不足するとどうなる?

マグネシウムとビタミンDが不足すると、健康にさまざまな悪影響を及ぼします。
以下がそれぞれの代表的なデメリットです。
マグネシウム不足のデメリット | ビタミンD不足のデメリット |
---|---|
筋肉のけいれんやこむら返り | 免疫力低下で風邪や感染症にかかりやすい |
イライラやストレス増加 | うつ症状や気分の落ち込み |
高血圧や心疾患リスク増加 | 筋力低下による転倒リスク |
慢性的な疲労感 | だるさや倦怠感 |
骨がもろくなる | 骨折・骨粗しょう症のリスク増加 |
この2つの栄養素は相互に関係しており、どちらも不足しないように意識的に摂取することが健康維持のカギとなると言えるでしょう。
以下の章で具体的な摂取方法について見ていきます。
マグネシウムとビタミンDの効果的な摂取方法

マグネシウムとビタミンDの効果を最大限に引き出すためには、バランスの取れた摂取が重要です。
両者に共通する摂取方法は2つあります。
一つは、食事からの摂取であり、もう一つはサプリメントからの摂取です。
マグネシウムとビタミンDの効果的な摂取方法1:食事
理想的なマグネシウムとビタミンDの摂取方法は食事です。
ですので、効率よく摂取するためには、毎日の食事が重要になってきます。
マグネシウムは、海藻類(わかめ、ひじき)、豆類(大豆、納豆)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)、緑黄色野菜(ほうれん草、ブロッコリー)などに多く含まれています。
一方、ビタミンDは魚類(サケ、サバ、イワシ)、キノコ類(しいたけ、まいたけ)、卵黄などに豊富です。
また、ビタミンDは紫外線を浴びることで体内合成されるため、適度な日光浴(1日15〜30分)をするのもおすすめです。
マグネシウムの摂取方法については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので合わせてご覧ください。


マグネシウムを豊富に含み、手軽に摂取できる食品として、かぼちゃの種(ロースト)もおすすめです。
100gあたりのマグネシウム含有量は約530mgであり、ごまやアーモンド、くるみよりもマグネシウムを多く含んでいることになります。
マグネシウムとビタミンDの効果的な摂取方法2:サプリメント
食事から十分な量のマグネシウムとビタミンDを摂取するのが理想ではありますが、毎日の食事の用意となると、現実的にはなかなか厳しいという方も多いのではないでしょうか?
そのため、サプリメントを活用するのも有効な方法です。
マグネシウムとビタミンDは相互作用があるため、同時に摂取することで効果がより高まるとされています。
ただし、過剰摂取を避けるために、推奨摂取量を守り、必要に応じて医師や専門家に相談するようにしましょう。
マグネシウムとビタミンDの1日の摂取基準量

マグネシウムとビタミンDの1日あたりの摂取量の基準(目安)は、以下です。
成人女性 | 成人男性 | |
---|---|---|
マグネシウム | 235mg | 295mg |
ビタミンD | 0.0051mg(5.1μg) | 0.0051mg(5.1μg) |
参照:「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省
厚生労働省が推奨する1日の摂取基準量と推奨量をマグネシウムで見てみると…
- 成人女性の摂取基準量235mgに対して、推奨量は285mg(50mgの不足)
- 成人男性の摂取基準量295mgに対して、推奨量は355mg(60mgの不足)
また、厚生労働省が行った令和5年「国民健康・栄養調査」をもとにして、ビタミンDの基準量と推奨量を比較してみると…
- 成人(男性・女性)の摂取基準量0.0051mg(5.1μg)に対して、推奨量は0.0085mg(0.0034mgの不足)
男性・女性ともにマグネシウム不足、ビタミンD不足の状態にあることがわかります。
まとめ:マグネシウムとビタミンDを一緒に摂取して健康を維持しよう!
今回はマグネシウムとビタミンDの関係や効果、摂取方法、1日の摂取基準量について解説してきました。
マグネシウムとビタミンDは、それぞれの働きをサポートしながら健康を維持するための重要な栄養素です。
特に、ビタミンDの活性化にはマグネシウムが必要であり、どちらかが不足すると体内で十分な効果を発揮できません。
毎日の食事からこれらの栄養素を積極的に摂取し、バランスの取れた生活を心がけましょう。