こむら返りは、突然の筋肉の痙攣(けいれん)によって引き起こされる痛みを伴う症状です。
この原因の一つとして考えられているのが、マグネシウム不足です。
今回はこむら返りの原因や予防法について詳しく解説するとともに、マグネシウムの健康効果や摂取方法についても紹介していきます。
こむら返りにマグネシウムが与える影響とは?
夜中や運動中に突然起こるこむら返り。
この症状にマグネシウムが深く関わっていることをご存知でしょうか?
マグネシウムは筋肉の収縮と弛緩に重要な役割を果たすミネラルです。
マグネシウムが不足すると、筋肉は異常な収縮を引き起こし、こむら返りの原因となることが分かっています。
ここでは、こむら返りとマグネシウムの関係について詳しく説明していきます。
こむら返りの症状と原因
こむら返りは、主にふくらはぎに起こる筋肉の痙攣(けいれん)のことで、多くは激しい痛みを伴います。
「こむら返り」の「こむら」とは古語で❝ふくらはぎ❞のことで、ふくらはぎが痙攣して筋肉が急に収縮する状態を、「こむらがひっくり返る」ように感じることから、「こむら返り」という表現が生まれたとされています。
一般的に言う「足がつる」状態のことですね。
この症状はふくらはぎに多く起こりますが、足の裏や指、太もも、胸など、体のどこにでも起こり得ます。
また、睡眠中に見られるほか、激しい運動中や運動後、長時間の立ち仕事の後などにも見られます。
大抵はほんの数分で治まりますが、運転中や水泳中などに起こると重大な危険にさらされることになります。
こむら返りの原因は、、、
- 水分の不足
- 過度な運動
- 冷え
- 加齢
- 疾患
など多岐にわたります。
そして、もう一つ意外な原因が、マグネシウムの不足です。
次の章で、マグネシウム不足によってこむら返りが起こりやすくなってしまうメカニズムを解説します。
さらに詳しくこむら返りの原因と対策について解説した以下の記事もおすすめです。
こむら返りの原因と対策!足がつる症状を予防する方法
- 潰瘍性大腸炎
- 慢性腎不全
- 2型糖尿病
- アルコール依存症
疾患によってはマグネシウムの排出を増加させる原因になるものもあるので、お気を付けください!
マグネシウム不足によって起こるこむら返りのメカニズムは?
なぜマグネシウムが不足することでこむら返りが発生するのか、解説していきます。
マグネシウムは、筋肉の収縮と弛緩を調整する重要なミネラルです。
体内でマグネシウムが不足すると、カルシウムの働きが過剰になり、筋肉が異常に収縮しやすくなってしまいます。
具体的には、マグネシウムは筋肉細胞内のカルシウム濃度を適切に保つ働きがあり、これが不足すると筋肉が過度に収縮し、こむら返りを引き起こす一因となるのです。
日常的な食事からのマグネシウム摂取が不足していたり、運動による大量の発汗でマグネシウムが失われたりすることで、症状が現れやすくなります。
マグネシウム不足とこむら返りの関連性については、以下の論文でも明らかになっています。
❝Magnesium (Mg2+) plays an essential role in many biological processes. Mg2+ deficiency is therefore associated with a wide range of clinical effects including muscle cramps, fatigue, seizures and arrhythmias. ❞
「マグネシウム(Mg2+)は体の中で多くの重要な働きをしています。そのため、マグネシウムが足りなくなると、筋肉のけいれん、疲れやすさ、発作、心臓のリズムの乱れなど、さまざまな健康トラブルが起こることがあります。」
参照:Genetic and drug-induced hypomagnesemia: different cause, same mechanism|PubMed
このほか、マグネシウムが不足することで私たちの体にはさまざまな影響が生じることがあります。
ぜひ、以下の記事も合わせてご覧になってください。
マグネシウム不足が引き起こす症状とは?1日に必要な摂取量や予防法も解説こむら返りを予防する3つの対策
こむら返りを予防するための代表的な3つの対策について紹介します。
- 水分・ミネラル(マグネシウム)を小まめに摂取する
- 運動の習慣をつける
- 身体が冷えすぎないように注意する
それぞれの対策について、具体的な方法を見ていきましょう。
水分・ミネラル(マグネシウム)を小まめに摂取する
こむら返り予防には、水分とミネラル(マグネシウム)の適切な補給が欠かせません。
特にマグネシウムは、緑葉野菜、ナッツ類、豆類、玄米などに多く含まれているので、日常的にこれらの食品を意識して摂取することが大切です。
また、運動時や暑い季節は汗でミネラルが失われやすいため、スポーツドリンクなどでの補給も効果的です。水分は1日2リットルを目安に、こまめな摂取を心がけましょう。
運動の習慣をつける
適度な運動は、血液循環を改善し、筋肉の柔軟性を高めることでこむら返りを予防します。特にストレッチやウォーキングなどの軽い運動を定期的に行うことが効果的です。
運動前後のストレッチは特に重要で、ふくらはぎを中心に丁寧にほぐすことで、筋肉の緊張を和らげることができます。
ただし、急な運動は逆効果になる可能性があるため、徐々に運動量を増やしていくことをおすすめします。
身体が冷えすぎないように注意する
体の冷えはこむら返りを引き起こす大きな要因の一つです。
特に就寝時は体温が下がりやすく、こむら返りが起こりやすくなります。
就寝時は靴下を履いたり、足元を温めたりすることで、血液循環を良好に保つことができます。
また、冷房の効いた環境で長時間過ごす際は、ひざ掛けを使用するなど、適切な防寒対策を心がけましょう。
入浴で体を温めることも効果的です。
こむら返り解消だけじゃない!マグネシウムの健康効果
マグネシウムはこむら返りを防ぐだけでなく、全身の健康に貢献する多くの効果を持っています。
例えば
- 骨や歯の形成
- エネルギー代謝の向上
- ストレスの軽減
- 心臓や血管の健康維持
- 便秘の改善
- 肌の保湿・保護
などが挙げられます。
また、適切なマグネシウム摂取は、不眠症の改善や血圧の安定化にも役立ちます。このように、マグネシウムは体全体の健康を支える貴重なミネラルです。
こむら返りを予防する経皮吸収からのマグネシウム摂取
こむらがえりを起こした場合、すぐできる対応方法は「足の親指をすねの方向に引っ張ること」ですが、根本的な解決法はこむら返りを起こさないようにすることですよね。
ここではこむら返りを予防する方法の一つとして、経皮吸収からのマグネシウム摂取をご紹介します。
マグネシウムは食品からの摂取だけでなく、経皮吸収を通じても効果を発揮します。
例えば、エプソムソルトを使った入浴は、肌からマグネシウムを取り込む方法として人気です。この方法は消化器官を通さないため、胃腸への負担が少なく、特に胃腸が弱い方にもおすすめです。
また、スポーツ後や就寝前に、ふくらはぎにマグネシウムオイル・クリーム・バームなどをマッサージするように塗布すると、こむら返り予防に効果的です。
マグネシウムの摂取方法については以下の記事を合わせてご覧いただくことで、より理解が深まるはずです。
マグネシウム摂取方法の完全ガイド|食品・サプリ・経皮吸収で健康を守る!まとめ|マグネシウムを摂取してでこむら返りを予防しよう!
こむら返りの予防と対策には、マグネシウムは必須ともいえます。
マグネシウム不足を防ぐためには、食品からの摂取に加えて、適度な運動や冷え対策、経皮吸収を取り入れると効果的です。
また、マグネシウムは筋肉の健康だけでなく、全身の健康維持にも役立つ重要なミネラルであることがわかっていただけたかと思います。
まずは日常生活にマグネシウムを意識して取り入れ、健康的な生活を送れるよう、少しずつできることから始めていきましょう。