マグネシウムは、骨や歯の形成、筋肉の収縮など、体のさまざまな機能に関与する重要なミネラルで、私たちの体にとって欠かせない栄養素の1つです。
また、マグネシウムには種類がいくつかあり、ダイエット効果や便秘改善など、種類別に私たちの健康維持をサポートする働きも持っています。
本記事では、マグネシウムの種類別の効果と、その効果を最大限に引き出すための摂取タイミングについて詳しく解説します。
マグネシウムを賢く取り入れ、ワンランク上の健康維持に努めましょう。
【種類別】マグネシウムはいつ飲むと効果的?

マグネシウムの効果を最大限に引き出すには、種類に応じた摂取タイミングを知りましょう。
代表的なマグネシウムの種類は次の4つです。
- 酸化マグネシウム
- クエン酸マグネシウム
- グリシン酸マグネシウム
- 水酸化マグネシウム
種類別に、「いつ飲むと効果的か」をご紹介します。
酸化マグネシウム
酸化マグネシウムは、もっとも一般的なマグネシウムの一種で、さまざまな病気の治療にも用いられています。
マグネシウムと酸素が結びついた化合物で、腸で水分を集めて便を柔らかくするため、便秘改善に効果的です。
摂取タイミングは、腸内での働きが活発になりやすい食後がおすすめです。
また、酸化マグネシウムは体内への吸収率が低いため、少量ずつ分けて飲むことで、効率よく摂取できます。
クエン酸マグネシウム
クエン酸マグネシウムは、体内への吸収力が非常に高いマグネシウムの一種で、エネルギーを補給する効果が高いと言われています。
マグネシウムとクエン酸が2:3の割合で結びついた化合物で、運動後の疲労回復や筋肉のけいれんを防ぐために使われます。
効果的な摂取タイミングは、運動後や昼食後です。
クエン酸マグネシウムは、いつ飲んでも効果があるとされていますが、運動後などの体が疲労している状態で摂取すると、素早くエネルギーが補充され、筋肉の回復をサポートします。
グリシン酸マグネシウム
グリシン酸マグネシウムは、体内での利用効率が高く、吸収も非常に良好な、マグネシウムの一種です。
グリシンというアミノ酸とマグネシウムが結びついてできた化合物で、リラックス効果があり、睡眠の質の向上も期待できます。
効果的な摂取タイミングは、就寝前が最適です。
寝る前に摂取すると、リラックス効果が高まり、質の良い睡眠を促進します。
水酸化マグネシウム
水酸化マグネシウムは、胃酸の中和作用が期待できるマグネシウムの一種で、便秘や胃酸逆流の治療に使用されます。
マグネシウムと水酸化物イオンが結びついた化合物で、消化をサポートする効果があり、胃腸が不調な時や胃酸過多の症状を和らげたい場合に有効です。
水酸化マグネシウムは必要な時に摂取するのが一般的で、効果的な摂取タイミングは食後です。
食後に水酸化マグネシウムを摂ることで、胃腸の不快感を緩和し、消化をサポートします。
マグネシウムは種類別で異なる効果を持っているため、目的に応じた種類の選択と適切なタイミングでの摂取が大切です。
自分の体調や目的に合わせて、最適なマグネシウムを選びましょう。

世界的に、水酸化マグネシウムやプロトンポンプ阻害薬(PPI)などの逆流性胃酸(酸逆流)治療薬の処方が増加しています。
しかし、胃酸の逆流は胃酸が多すぎる場合だけでなく、逆に不足している場合にも起こることがあります。
どちらの原因かを簡単に判断する方法として、食事の前に小さじ1杯のリンゴ酢を摂取してみてください。
もし症状が改善する場合、それは胃酸が不足しているサインです。その場合は、水酸化マグネシウムを使用すべきではないかもしれません。
また、胃酸の量を正確に測定する特殊な検査を医師に依頼することも可能なので、気になる場合は相談してみましょう。
マグネシウムの1日の摂取量の目安は?

マグネシウムの1日の摂取量の目安は、年齢や性別によって異なります。
一般的な推奨量は以下表の通りです。
<マグネシウムの一日当たりの推奨摂取量>
性別・年齢 | 一日当たりの推奨摂取量 |
---|---|
成人男性(19歳以上) | 1日あたり約320〜370mg |
成人女性(19歳以上) | 1日あたり約260〜300mg |
妊娠中の女性 | 1日あたり約300〜340mg |
授乳中の女性 | 1日あたり約260〜300mg |
子供 | 年齢に応じて80mg〜320mgの範囲 |
引用:マグネシウムの働きと1日の摂取量|健康情長寿ネット
マグネシウムの摂取は、主に食事やサプリメントが多いですが、サプリメントで摂取する場合は、過剰摂取に注意してください。
サプリメントによるマグネシウムの過剰摂取は、下痢や腹痛を引き起こす可能性があります。(食事で摂取する場合は、過剰摂取すること自体が稀です)
自分に必要なマグネシウムの量を把握し、食事や生活習慣に取り入れ、健康的なライフスタイルを構築しましょう。

マグネシウムがもたらす3つの健康効果

マグネシウムは、私たちの体にさまざまな健康効果をもたらします。
特に注目されている健康効果は、次の3つです。
- 筋肉と神経機能を助ける
- 骨の健康維持
- リラックス効果
1つずつ詳しく見ていきましょう。
筋肉と神経機能を助ける
マグネシウムは筋肉の収縮や神経伝達に関与しています。
特に、運動後の筋肉の回復と神経の適切な機能のサポートに、マグネシウムは効果的です。
十分なマグネシウムが体内にあると、筋肉の緊張を和らげ、神経過敏や不安感の軽減など、精神的なバランスも保ちやすくなります。
反対に、マグネシウムが不足すると筋肉の収縮が過剰になり、筋肉のけいれんや、つりを引き起こします。
骨の健康維持
マグネシウムは骨の形成に必要なカルシウムをサポートする働きがあり、骨の強度と密度を保つ役割を持っています。
カルシウムが骨に正しく取り込まれるのを助けるため、骨の健康維持にはマグネシウムが欠かせません。
また、骨の成長や修復にも寄与し、骨粗鬆症(骨が弱くなる病気)の予防にも役立つとされています。
マグネシウムが不足すると、カルシウムの吸収がうまくいかず、骨の密度が低下するなど、骨の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
リラックス効果
マグネシウムには、リラックス効果があり、ストレスの軽減や心地よい眠りをサポートします。
マグネシウムは神経の興奮を抑える働きがあり、神経伝達物質のバランスを保つことで、過度な神経の刺激を防ぎ、落ち着きをもたらします。
また、マグネシウムは快適な睡眠をサポートしてくれるため、入眠前に摂取すると非常に効果的です。
マグネシウムが不足していると、イライラや不安、焦燥感が増す可能性があります。
マグネシウムを飲む前に気を付けたい3つの注意点

マグネシウム摂取する際、いくつかの注意点があります。
特に、気を付けるべき注意点は次の3つです。
- マグネシウムと薬の相互作用
- マグネシウムの過剰摂取
- 腎臓の疾患がある場合
1つずつ詳しく解説いたします。
マグネシウムと薬の相互作用
マグネシウムは、いくつかの薬と相互作用を起こす可能性があります。
以下の表は、一緒に服用すると影響を及ぼす可能性のある薬とその相互作用について、まとめたものです。
<薬とその相互作用、注意点>
薬 | 相互作用 | 注意点 |
---|---|---|
ビスホスホネート(フォサマック、アクトネルなど) | 薬の効果が減少する可能性がある | ビスホスホネートを服用後、少なくても2時間は摂取間隔を空ける |
利尿剤(ループ利尿剤やチアジド系利尿剤) | マグネシウム欠乏症になる可能性がある | マグネシウム摂取の際は、医師の相談が必要 |
プロトンポンプ阻害薬(ランソプラゾール、エソメプラゾールなど) | マグネシウム欠乏症になる可能性がある | マグネシウム摂取の際は、医師の相談が必要 |
一部の抗生物質(キノロン系抗生物質、テトラサイクリン系抗生物質) | 薬の効果が減少する可能性がある | 薬の服用は、マグネシウムを摂取する前だと、少なくとも2時間前の服用、摂取後だと約4~6時間の間隔を空ける |
引用:マグネシウム|厚生労働省「eJIM」
薬を服用している場合は、マグネシウムを摂取する前に医師や薬剤師に相談しましょう。
マグネシウムの過剰摂取
マグネシウムは、過剰に摂取すると、下痢や腹痛、吐き気など、健康に害を及ぼす可能性があります。
非常に多量のマグネシウムを摂取すると、マグネシウム中毒の症状が現れ、血圧の低下や心拍数の乱れ、呼吸困難など、最終的には命に関わる危険もあります。
マグネシウムサプリを摂取する場合は、メーカーが推奨する摂取量を守り、過剰摂取を避けましょう。
腎臓の疾患がある場合
腎臓に疾患がある場合、マグネシウムの摂取には特に注意が必要です。
腎臓の機能が低下すると、体内でのマグネシウムの処理能力が制限され、体内にマグネシウムが蓄積してしまう可能性があります。
また、マグネシウムを過剰に摂取すると、高マグネシウム血症(血中のマグネシウム濃度が異常に高くなる状態)を引き起こす恐れがあり、心臓の問題や筋肉の麻痺、呼吸困難など、危険な状態に陥りかねません。
腎臓に疾患がある場合は、マグネシウムを摂取する前に医師に相談し、適切な量を守ることが非常に大切です。
マグネシウムを安全に摂取するためには、自分の体調や状態をよく理解し、必要に応じて医師や専門家に相談しましょう。
マグネシウムは食事からの摂取が難しい

マグネシウムは、骨の健康や筋肉・神経の機能に欠かせない栄養素ですが、日常的に十分な量を食事から摂取することは意外と難しく、多くの人がマグネシウム不足になりがちです。
原因の1つに、現代の食生活や栄養の偏りが影響しているとされています。
現代の食事は、便利さを重視した加工食品やファーストフードに偏りがちで、これらの食品はマグネシウムを含む天然の成分を取り除いている場合が多く、栄養価が低くなる傾向にあります。
また、食材の調理方法も原因の1つです。
マグネシウムは水溶性の栄養素のため、長時間煮たり茹でたりすると、調理過程で栄養が流れ出てしまうため、食事から必要な量のマグネシウムの確保が難しくなります。
このように、食事から十分にマグネシウムを摂取するのは難しい方が多いため、マグネシウムのサプリメントを利用して、手軽に必要なマグネシウムを補うのが一般的になりつつあります。
自分の食生活に合わせて、適切にマグネシウムを補い、健康維持に役立てましょう。

まとめ|マグネシウムの効果的な摂取タイミングを把握して健康的な生活を送る
マグネシウムは骨や筋肉、神経の機能に欠かせない重要なミネラルで、効果的なマグネシウムの摂取には、そのタイミングの考慮が大切です。
- 運動後のマグネシウム摂取は筋肉の緊張を緩和する効果がある
- 就寝前にマグネシウムを摂取すると、質の高い睡眠が期待できる
上記のように「マグネシウムをいつ飲むか」を知ると、より良い健康維持が可能になります。
マグネシウムサプリを活用し、健康的な生活を送りましょう。