2024年12月、大麻取締法の一部改正が施行されたことで、CBD(カンナビジオール)に関する規制が大きく変わりました。
これまでのCBD製品が今回の法律施行後、違法とされる可能性も場合によっては出てくるかもしれません。
このような背景から、CBD製品の販売者や利用している消費者の中には、今まで合法だったCBD製品が2025年以降も使用できるのかどうかについて、疑問や不安をもっている方も多いようです。
今回の記事では、2024年の法改正によるCBD規制の変更点や違法性の有無、今後の使用可否について詳しく解説していきます。
【前提】2024年の大麻取締法の一部改正とCBD規制の概要を簡単に解説

2024年の大麻取締法改正により、CBDの規制がより厳格化されることになりました。
といっても、そもそも「大麻取締法」とはどのような法律なのか?
また、「CBD」とは何なのか?
その点をまずはクリアにしてから、より詳しい内容や情報をお伝えし、理解を深めていきたいと思います。
CBD規制の根拠となる大麻取締法とは?
大麻取締法は、日本における大麻およびその関連製品の取り扱いを規定する法律です。
2023年12月に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」として改正され、その一部が2024年12月12日に施行されました。
大麻取締法は従来の規制では、成熟した茎や種子から抽出されたCBDは合法とされていました。
しかし、法改正によってCBD製品に含まれる「THC(テトラヒドロカンナビノール)」(※)の量が厳格に規制されることになったため、これまで販売や利用できていたCBD製品が今後は販売できなくなる可能性が高まっているのです。
(※)THC:大麻の花や穂、葉、根から抽出される成分の一つ。
違法性の有無が問われるCBD(カンナビジオール)とは?
CBDは、植物の大麻由来の成分の一つです。
CBDは大麻の茎や種子から抽出され、炎症を鎮めたり、不安やストレスを緩和したりする効果・効能が期待されていて、安全性も高いことから医療やウェルネスの分野で注目されています。
しかし、CBD製品には微量のTHCが含まれていることがあり、今回の法改正ではその残留基準が設定されました。
このため、現在流通しているCBD製品が違法とされる可能性が高まっているのです。
2024年の法改正におけるCBD規制の変更点

2024年の法改正では、CBDに関する新たな規制が導入されました。
主な変更点は以下の2点です。
- 大麻の不正使用の禁止
- THCの残留限度値の設定
それぞれについて詳細を説明していきます。
大麻の不正使用の禁止
改正により、大麻の不正な使用が「麻薬及び向精神薬取締法」における「麻薬」として位置付けられ、禁止規定および罰則(施用罪)が適用されることになりました。
(※)施用:医薬品である麻薬を身体に投与・服用すること
これまでは大麻を施用した場合の刑罰はありませんでしたが、この改正により7年以下の懲役刑となります。
また、大麻などの不正所持、輸入などの規制もこれまでは5年以下の懲役刑でしたが、改正後は7年以下の懲役刑が科されることになり、厳罰化が進みました。
THC(テトラヒドロカンナビノール)の残留限度値の設定
製品等に残留するTHCについて、以下のような残留限度値が設けられ、この値を超える量のTHCを含有する製品等は「麻薬」に該当することになりました。
ただし、THCの含有量が限度値以下の製品は、麻薬規制の対象になりません。
製品の種類 | THCの残留限度値 |
---|---|
油脂(常温で液体のもの)および粉末 | 10ppm(10mg/kg、0.001%) |
水溶液 | 0.1ppm(0.1mg/kg、0.00001%) |
上記以外のもの | 1ppm(1mg/kg、0.0001%) |
これまで、日本ではTHCを含まないCBD製品は合法とされてきましたが、今回の法改正により、THCの微量な含有であっても違法とみなされる可能性が出てきました。
改正の背景には、CBDの医療用途での施用などを可能にすることや、若年層での大麻乱用が拡大しているため歯止めをかけることといったことが挙げられます。
2024年の法改正で違法性とみなされるのは「CBD」と「THC」のどっち?

2024年12月12日に施行された大麻取締法で、違法であるとみなされるのは「THC」です。
CBDとTHC、両者の違いをわかりやすくまとめたものが、以下の一覧です。
大麻の成分名称 | CBD(カンナビジオール) | THC(テトラヒドロカンナビノール) |
---|---|---|
日本での使用可否 | ⚪︎(合法) | ×(違法) |
抽出部位 | 大麻の茎や種子 | 大麻の花や穂、葉、根 |
効果・効能 | 抗けいれん作用・抗炎症作用・鎮痛作用・抗不安作用・抗てんかん作用・抗がん作用など様々 | 痛みの緩和、吐き気やけいれんの抑制、食欲増進、気分の高揚(いわゆる“ハイ”な状態) |
依存性 | なし | 有り |
幻覚作用 | なし | 有り |
安全性 | 高い | 低い |
参考:令和6年12月12日に「大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律」の一部が施行されます|厚生労働省
参考:大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律要綱|厚生労働省
2024年にCBD規制が強化された背景
ただし、CBD製品であってもその中にTHCを含んでおり、その許容限度を超える場合は違法とされる可能性が高いです。
特に、出所の不明な輸入品などはTHCが微量に含まれているケースもあるため、こうした製品は新たな規制の下では販売が難しくなるでしょう。

カナダでは一般向けの大麻が合法化される前は、日本と似たような規制がありました。
興味深い点として、肌に塗るタイプのCBD製品に含まれるTHCの残留限度は「1ppm」と定められています。
こうした基準値は、どんな人が使っても身体に影響を及ぼさないレベル にするために、各国の政府が慎重に設定しています。
実際の使用状況や利便性とは別に、こうした厳しい基準がある背景には「安全を最優先する」という考え方があるからだと言えるでしょう。
2024年以降にCBD製品は使用できなくなるの?

2024年の法改正により、すべてのCBD製品が使用禁止になるわけではありません。
あくまでも、新たなCBD規制に適合しない製品は違法で使用不可ということであって、CBD自体は安全であり、むしろ私たちの体にプラスの効果・効能をもたらしてくれる可能性があるものなのです。
実際、カンナビジオールの有用性と安全性に関する研究も報告されており、以下のように結論づけています。
「Epidiolex®(CBD由来の難治性てんかんの治療薬)は、適切な管理を行うことで安全かつ有効に治験を行うことができると考えられる。」
参照:難治性てんかんにおけるカンナビノイド(大麻抽出成分)由来医薬品の治験に向けた課題把握および今後の方策に向けた研究|厚生労働行政推進調査事業費(厚生労働科学特別研究事業)
ですので、CBDと聞いて必要以上に恐れる必要はありませんし、CBD自体が決して麻薬というわけではないことを覚えておいてください。
まとめ:CBDを使用する際は、違法性の有無や規制を守っているかに注意しよう!
今回の記事では、2024年の大麻取締法改正によるCBD規制の主な変更点や違法性の有無、今後の使用可否について詳しく解説してきました。
THCの残留限度値が設定されたことにより、これまでは合法とされていたCBD製品でも今後は違法と判断される可能性があります。
ただ、CBD自体は合法であり、その効果や効能の可能性も期待できます。
それゆえ、CBD製品を全てNG扱いするという必要はありません。
製品の成分や出所をしっかりと確認した上で基準を満たした製品であれば、自身の健康管理や体調管理にCBDを取り入れていきましょう。