マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)は、私たちの健康を支える重要な栄養素です。
これらはエネルギー代謝や神経機能、筋肉の働きなどに深く関与しており、不足するとさまざまな不調が現れる可能性があります。
また、マグネシウムとビタミンB群は単独で摂取するよりも、組み合わせることで相乗効果を発揮することが知られています。
本記事では、以下の疑問を解消していきます。
- マグネシウムとビタミンB群の基礎知識
- 相互に与える影響
- それぞれが不足した場合のリスク
- 1日の推奨摂取量
- 効果的な摂取方法
あなたの健康的な暮らしのために、ぜひ参考にしてください。
マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)の基礎知識

マグネシウムとビタミンB群の相互効果について、より理解しやすくなるよう、まずはそれぞれがどのような働きや効果があるのか確認していきましょう。
マグネシウムとは?
マグネシウムは体内で300種類以上の酵素の働きを助ける必須ミネラルの一つです。
体内にどのくらいあるのかと言うと…重さにしてわずか約25g程度です。
そのうち50%~60%のマグネシウムは骨に、残りは筋肉や細胞内液、血液中に存在しています。
マグネシウムの主な働きと期待できる効果をまとめたものが以下の一覧になります。
働き | 期待できる効果 |
---|---|
エネルギー代謝のサポート | ATPの活性化を助け、エネルギー産生を促進する |
筋肉の収縮と弛緩の調整 | こむら返りの予防や筋肉疲労の軽減に貢献する |
神経伝達の調整 | イライラや神経過敏の軽減に役立つ |
骨と歯の形成・維持 | カルシウムとともに骨の健康を維持し、骨粗しょう症を予防する |
血圧の調整 | 血管を拡張し、血圧を下げる作用がある |
ストレス緩和・精神安定 | 副交感神経を優位にし、リラックス効果をもたらす |
抗酸化作用 | 酸化ストレスを軽減し、老化や病気の予防に役立つ |
このようにマグネシウムは私たちの生命活動に直結する反応を支えているため、「健康の土台」と言えるミネラルです。
ビタミンB群(B1、B2、B6)とは?
ビタミンB群は8種類の水溶性ビタミンから構成されているビタミンの総称です。
以下が8種類の水溶性ビタミンであり、それぞれが異なる働きを持ちながら、互いに補完して機能しています。
- ビタミンB1
- ビタミンB2
- ビタミンB6
- ビタミンB12
- ナイアシン
- パントテン酸
- 葉酸
- ビオチン
今回はその中でもビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6の3種類を紹介します。
【ビタミンB1(チアミン)】
ビタミンB1は糖をエネルギーに変えるために必要な栄養素です。
主な働きは以下の3つであり、特に脳や神経が正常に働くために欠かせないビタミンです。
- エネルギーを作る
- 神経の働きを助ける
- 疲労回復を助ける
ビタミンB1は主に疲労回復、筋肉のこり、脚気(かっけ)予防などの目的で摂取が推奨されます。
【ビタミンB2(リボフラビン)】
ビタミンB2はエネルギーを作るのを助ける栄養素です。
また、皮膚や粘膜の健康維持、成長促進にも重要な役割を持っています。
- エネルギーを作る(代謝のサポート)
- 皮膚・粘膜・髪・爪の健康を保つ
- 成長を促進する
- 脂質の代謝をサポートする
肌荒れや口内炎の薬に使われるビタミンがこのビタミンB2ですね。
また、皮脂の分泌をコントロールする働きがあるので、ニキビ予防にも利用されています。
【ビタミンB6】
ビタミンB6は、タンパク質の代謝や神経の働きをサポートする重要なビタミンです。
特に皮膚の健康維持、ホルモンバランスの調整、免疫機能の向上に関わっています。
- タンパク質の代謝を助ける
- 神経の働きをサポートする
- 免疫力を高める
- ホルモンバランスを整える
- 皮膚・粘膜の健康を守る
ビタミンB6もビタミンB2と同様に肌荒れや口内炎の薬に使われ、また、つわり対策などにも使われています。
マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)の相互効果
マグネシウムとビタミンB群は、それぞれの働きを補完し合う関係にあります。
その一例をお伝えすると、以下のような効果やメリットがあることがわかっています。
組み合わせ | 相互作用・メリット |
---|---|
マグネシウム × ビタミンB1(チアミン) | エネルギー産生をサポートし、疲労回復や神経機能の維持に役立つ |
マグネシウム × ビタミンB2(リボフラビン) | 片頭痛予防や筋肉の正常な収縮をサポートする |
マグネシウム × ビタミンB6 | 神経伝達物質(セロトニン・ドーパミン)の生成を助け、リラックス効果をもたらす |
また、海外の研究ではマグネシウムとビタミンB6の併用が、ストレスを抱えた健康な成人の精神的健康(抑うつ・不安)や生活の質を向上させる可能性があることが示唆されています。
“Participants’ perceived capacity for physical activity in daily life showed greater improvement with magnesium + vitamin B6 than magnesium alone (Week 4).”
「参加者の自己評価による日常生活での身体活動の能力は、4週目時点で、マグネシウム単独よりもマグネシウム+ビタミンB6の組み合わせの方が大きく改善された。」
引用:Effect of magnesium and vitamin B6 supplementation on mental health and quality of life in stressed healthy adults: Post-hoc analysis of a randomised controlled trial|PubMed
また、マグネシウムとビタミンB群の相互作用と同じように、マグネシウムとビタミンDにも相互作用があることが海外の論文で報告されています。
ご興味がある方はこちらの記事もあわせてお読みください。


カナダでは、マグネシウムとビタミンB群を組み合わせた治療法をよく使用していました。
この組み合わせは非常に有用であるため、点滴療法としても活用されており、故ジョン・A・マイヤーズ医師が考案した「マイヤーズ・カクテル」として知られています。
「マイヤーズ・カクテル」を含む静脈内投与(IV療法)は、即効性があり効果的ですが、日常的に不足しがちな栄養素を補うためには、経口サプリメントの継続的な摂取も非常に重要です。
マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)が不足するとどうなる?

マグネシウムやビタミンB群が不足すると、以下のようなさまざまな健康リスクが高まります。
マグネシウム不足により、筋肉の弛緩と収縮のバランスが崩れる。
マグネシウム不足で睡眠を深くするホルモン「メラトニン」の生成サポートがうまくいかなくなる。
マグネシウム、ビタミンB1不足によりエネルギー代謝が低下する。
ビタミンB2・B6不足による皮膚や粘膜のダメージを受けやすくなる。
マグネシウム、ビタミンB1、B6などが不足することで神経機能が低下する。
これらの症状を防ぐためには、バランスの取れた食事を意識し、必要に応じてサプリメントを活用することが重要です。
事項で詳細を見ていきましょう。
マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)の効果的な摂取方法

マグネシウムとビタミンB1、B2、B6を効果的に摂取するには、食事とサプリメントの活用がおすすめです。
食事とサプリメントの摂取方法について解説します。
マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)の効果的な摂取方法:食事
まず栄養摂取の基本となるのは食事です。
毎日の食事でバランスよくマグネシウムやビタミンB群を摂取するのが、体にとって自然であり、ベストな方法だと言えます。
マグネシウムは、海藻類(わかめ、ひじき)や大豆製品(豆腐、納豆)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)などに多く含まれています。
そして、ビタミンB1は豚肉や玄米、B2はレバーや乳製品、B6はバナナや魚(サーモン、マグロ)に豊富に含まれています。
これらをバランスよく取り入れることで、相互作用による健康効果を最大限に活かせるようになるでしょう。
ただ、そうは言っても何かと忙しい現代人にとって、「毎日の献立を考えて、バランスよく摂取する」なんてことはなかなか大変ですよね。
そこで、次に紹介するサプリメントの補助的な利用もおすすめします。
マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)の効果的な摂取方法:サプリメント
日々の食事から必要量を摂取するのが理想ですが、忙しい生活の中では難しい場合もあります。
その際は、必要に応じてマグネシウムとビタミンB群をバランスよく配合したサプリメントを活用するのもおすすめです。
ただし、過剰摂取やサプリメントの品質にも注意が必要です。
適量を守りながら継続的に安全性の高いサプリメントを摂取することが、健康維持につながります。
実際にどんなサプリメントがあるのかについては、マグネシウムのサプリメントに関して詳しく解説した記事があるので、こちらをご覧ください。

マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)の摂取基準量
マグネシウムビタミンB1、B2、B6が体に必要不可欠な栄養素であることを理解したところで、次は1日あたりの摂取量の基準(目安)を確認していきましょう。
下の表は厚生労働省の報告を元にした、マグネシウムとビタミンB1、B2、B6の1日あたりの摂取基準量です。
<マグネシウムとビタミンB1、B2、B6の一日当たりの摂取基準量>
成人女性 | 成人男性 | |
---|---|---|
マグネシウム | 235mg | 295mg |
ビタミンB1 | 0.9mg | 1.2mg |
ビタミンB2 | 1.0mg | 1.3mg |
ビタミンB6 | 1.0mg | 1.1mg |
「日本人の食事摂取基準(2020年版)」策定検討会報告書|厚生労働省
「摂取」基準量と比較して「推奨」基準量を見てみると…
<マグネシウムとビタミンB1、B2、B6の一日当たりの推奨基準量>
成人女性 | 成人男性 | |
---|---|---|
マグネシウム | 270mg(−35mg)※ | 340mg(−45mg) |
ビタミンB1 | 1.1mg(−0.2mg) | 1.4mg(−0.2mg) |
ビタミンB2 | 1.2mg(−0.2mg) | 1.6mg(−0.3mg) |
ビタミンB6 | 1.2mg(−0.2mg) | 1.4mg(−0.3mg) |
※( )内は摂取基準量と比較したときの栄養素の不足量
現代人は、マグネシウム、ビタミンB1、B2、B6の全ての栄養素が不足していることがわかります。
食習慣やライフスタイルの変化、生活習慣の乱れ、ストレスの増加など、さまざまな要因による栄養素不足は、近年ますます深刻化しています。
難しいことではありますが、私たちが意識してこれらの栄養素を積極的に摂取することがより求められていると言えるでしょう。
まとめ:マグネシウムとビタミンB群(B1、B2、B6)は一緒に摂ると効果的!
今回はマグネシウムとビタミンB1、B2、B6の働きや相互効果、摂取基準量、摂取方法などを解説してきました。
マグネシウムとビタミンB群は、それぞれの働きを補い合いながら、エネルギー代謝・神経機能の維持・ストレス軽減・血流改善など、多くの健康効果が期待できます。
マグネシウムとビタミンB群をうまく組み合わせて、体と心の健康をより良くしていきましょう!