マグネシウムは私たちの生命活動に必須のミネラルの一つであり、体内の約800種類以上の化学反応の補酵素として働いています。
しかし、過剰摂取や特定の状況では、副作用が現れる場合があります。
特にサプリメントでの過剰摂取や薬を利用する際には、適切な摂取量を守ることが重要です。
今回の記事では、マグネシウムの摂取で副作用が発生するケースや、よくある症状、適切な摂取量について解説します。
安全に、そして、健康的にマグネシウムを摂取するための知識を身につけて、ご自身の健康管理にお役立てください。
マグネシウムの摂取で副作用が起こるケースとは?

マグネシウムを摂取することで副作用が起きる場合は、ある程度限られています。
代表的なのは、以下の3つのケースです。
- マグネシウムを取りすぎた場合(過剰摂取)
- 腎機能が低下している場合
- 薬との飲み合わせがある場合
順番に一つずつ解説していきます。
マグネシウムを取りすぎた場合(過剰摂取)
マグネシウムを食事以外でサプリメントや薬から多量に摂取すると、下痢や吐き気、腹痛といった副作用が起きる可能性があります。
しかし、日本人のほとんどはマグネシウム不足の状態であるため、サプリメントや薬をよほど大量に、または長期的に服用しない限り、そこまで神経質になる必用はないといえるでしょう。
また、サプリメントと薬の違いですが、サプリメントは一般的には食品に分類され、マグネシウム含有量が比較的少なく、効果は緩やかな傾向にあります。
一方、薬は医療用、または市販薬として治療目的で処方・販売されるため、即効性が強いものもあり、その反面、副作用のリスクが高くなることもあります。
腎機能が低下している場合
マグネシウムは主に腎臓で排出されるため、腎機能が低下している場合、体内にマグネシウムが蓄積しやすくなり、副作用が起こりやすくなる。
特に高齢者や腎臓病を抱える方は、副作用が起きやすい状態にあるので、マグネシウムの摂取量に十分注意する必要があります。
マグネシウムを摂取する必要がある際には、医師と相談のうえ、適切な摂取量を守ることが重要です。
薬との飲み合わせがある場合
マグネシウムを含むサプリメントや薬を、他の薬と一緒に飲むと、効果が弱まったり、副作用が出ることがあります。
マグネシウムと薬の飲み合わせで起こる主な副作用には、以下のようなものがあります。
薬名 | 飲み合わせによって起こる可能性がある副作用 |
---|---|
抗生物質 | 抗生物質を含む薬をマグネシウムと一緒に摂ると、抗生物質が体内に十分に吸収されず、効果が弱くなる可能性があります。 |
利尿薬や降圧薬(※) | 体内のマグネシウム濃度が異常になり、マグネシウムの血中濃度が上がりすぎたり、下がりすぎたりし、高マグネシウム血症や低マグネシウム血症のリスクが高まる。 |
(※)降圧薬:血圧を下げる薬
こうした飲み合わせの問題を避けるためにも、まずは医師や薬剤師に相談するとよいでしょう。
マグネシウムの副作用でよくある症状

マグネシウムの過剰摂取によって、よくある副作用は下痢です。
これは、マグネシウムが腸内で水分を引き寄せる性質を持っているためです。
ただ、このマグネシウムの性質を逆手に取り、マグネシウムを便秘薬として活用することもできます。
実際、酸化マグネシウムは下剤として長年使用されており、習慣性もないため慢性便秘症によく使われます。
酸化マグネシウム製剤の年間使用者数は約4,000万人とも推計されるほどです。
副作用によるその他の症状としては・・・
- 腹痛
- 吐き気
- 筋力の低下
- 倦怠感
- 血圧の低下
- 不整脈
などが表れることもあります。
もしこうした症状が出た場合には、マグネシウムの摂取を即刻中止し、医師の診断を受けるようにしましょう。
マグネシウムの副作用で注意すべき高マグネシウム血症とは?

マグネシウムの副作用で怖いのが、マグネシウムの過剰摂取による「高マグネシウム血症」です。
高マグネシウム血症は悪化すると、意識障害、不整脈、心停止に至ることがあります。
特に、高齢者や長期間マグネシウムを服用している方は十分お気をつけください。
万が一高マグネシウム血症に疑わしい症状が出た場合は、速やかに医療機関を受診するようにしてください。

クリニックでは、高マグネシウム血症は副作用の一つとして知られていますが、経口サプリメントの摂取で引き起こされることはほとんどありません。
特に経皮吸収型の製剤は吸収が非常に緩やかなため、高マグネシウム血症が発生することはありません。
実際にこの症状が見られるのは、病院での静脈内投与が行われた場合に限られることが多いです。
さらに、非リポソーム型のマグネシウム製剤には下剤作用があるため、経口摂取によって臨床的に高マグネシウム血症を引き起こす可能性は極めて低いと考えられます。
マグネシウムの1日の摂取基準量を守れば、副作用は起こりにくい
マグネシウムの適切な摂取量を守ることで、副作用のリスクを軽減できます。
厚生労働省が推奨する1日のマグネシウム摂取基準量は、成人男性で約340~380mg、成人女性で約280~290mgとされています。
参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
通常の食事からの摂取では過剰摂取となるリスクは低いですが、サプリメントを利用する場合には、推奨量を超えないよう注意しましょう。
マグネシウムの摂取基準量について、より詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

マグネシウムの副作用だけに目を向けないで!知っておきたい驚きの効果・効能

副作用と聞き、マグネシウムの摂取を控えようと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっとお待ちください!
マグネシウムは適切な摂取量を守れば、副作用もほとんどなく、私たちの健康に多大な貢献をするミネラルです。
体内の800種類以上の酵素反応に関与する補酵素として働き、生命維持に欠かせない貴重なミネラルと言っていいでしょう。
以下はマグネシウムの健康効果の一例です。
- 骨や歯を丈夫に保つ
- こむら返りや筋肉の痙攣(けいれん)を防ぐ
- 精神を安定させる
- 片頭痛を和らげる
- 肌を保湿する
- 高血圧のリスクを減らす
- ダイエット効果に寄与する
- 便秘を改善に役立つ
また、海外の研究ではマグネシウムの摂取が、認知症予防にもつながることを報告しています。
“Our study shows a 41 per cent increase in magnesium intake could lead to lessage-related brain shrinkage, which is associated with better cognitive function and lower risk or delayed onset of dementia in later life,”
「私たちの研究では、マグネシウム摂取量を41%増やすことで、加齢による脳の萎縮が少なくなり、それが認知機能の向上や認知症のリスク低下、発症の遅延と関連している可能性があることを示しました」
引用:Eating more magnesium each day keeps dementia at bay|European Journal of Nutrition
マグネシウムの適切な摂取は、健康を維持するために重要であるため、副作用ばかりに目を向けず、バランスの取れた摂取を心がけたいものです。
まとめ:マグネシウムの副作用は適切な使用方法や適量を守ることで防げる!
今回の記事では、マグネシウムの摂取で副作用が発生するケースや、起こり得る症状、適切な摂取量について解説してきました。
適切な摂取量を守れば、マグネシウムを摂り入れることに必要以上に過敏になる必要はありません。
正しい用量を守り、正しい摂取方法でマグネシウムを活用できれば、体も心もより一層、健康になれるはずです。
オーガニックサイエンスでは、これからも皆様に正しい情報や健康に寄与するホンモノの商品をお届けし、みなさまの価値提供を続けていきます。
そして、「マグネシウムの重要性を社会に根付かせる」というビジョンに基づき、活動してまいります。
あなたの健康、生活、人生がより豊かなものになるよう、今後もこの「Organic Science LAB」や私たちの提供する情報、商品をご活用いただければ幸いです。