【マグネシウム不足と片頭痛】原因や改善策、論文などをご紹介します

マグネシウム 片頭痛

今回はつらい片頭痛とマグネシウム不足について徹底解説していきます。世界的医薬品会社カイザーの研究やマグネシウムの取り入れ方なども併せてお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

日本人の片頭痛患者の割合

【マグネシウム不足と片頭痛】原因や改善策、論文などをご紹介します

片頭痛は、多くの人々にとって生活の質を大きく損なう要因の一つです。

日本では、片頭痛は一般的な健康問題であり、調査によると成人の約8~10%が片頭痛に苦しんでいると報告されています。
特に女性に多く、男性よりも約3倍の発症率が見られます。

片頭痛は、遺伝的要因、環境要因、生活習慣など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症しますが、特にストレスや睡眠不足、食事内容が片頭痛のトリガーとなることが多いです。

参考:https://thejournalofheadacheandpain.biomedcentral.com/articles/10.1186/s10194-020-01180-9

突発的な頭痛や片頭痛の原因

【マグネシウム不足と片頭痛】原因や改善策、論文などをご紹介します

突発的な頭痛や片頭痛には、さまざまな原因が考えられます。

片頭痛は、脳の血管が拡張し、その周囲の神経が刺激されることによって引き起こされると考えられていますが、具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていませんが、主な要因としては、ストレス、水分不足、寝過ぎや寝不足などの不規則な生活リズム、定期的な飲酒習慣、環境やホルモンの影響が挙げられます。

ストレス

日常的なストレスが片頭痛の引き金となることが多く、精神的なプレッシャーや疲労が脳内の神経伝達物質のバランスを崩し、片頭痛を誘発します。

ストレスなどによって三叉神経領域が強く刺激されると、神経末端より炎症物質を放出し、その炎症物質がさらに血管を拡張させてズキンズキンと表現される拍動痛をもたらす頭痛発作を発症すると伝えられています。

睡眠不足または過剰

睡眠のリズムが乱れると、片頭痛が発生しやすくなります。
睡眠不足が片頭痛を引き起こすメカニズムは、主に脳のホメオスタシスの乱れに関連しています。

睡眠不足は、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスを崩し、痛みに対する感受性を高めます
また、睡眠不足はストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を促進し、血管の収縮と拡張を不安定にし、片頭痛の発症リスクを高めると考えられています。

食事

アルコール、チョコレート、加工食品などが片頭痛のトリガーとなることがあります。

また、食事中の特定の添加物や防腐剤も影響を与えることが知られています。
これらはホルモンバランスの乱れを引き起こすだけでなく、体内の炎症反応を高めることで片頭痛を引き起こす可能性があります。

環境要因

気圧の変化や強い光、騒音などの環境的な要因もストレスの原因となって、片頭痛を引き起こすことがあります。

ホルモンバランスの乱れ

特に女性は、月経周期や妊娠、更年期に伴う女性ホルモン変動が片頭痛を引き起こすことがあります。

片頭痛は男性よりも女性に圧倒的に多いとされています。詳しくは次の項目でお伝えします。

片頭痛の原因は未だ不明

片頭痛

現代の医学でも、偏頭痛の原因や病態は必ずしも全てが明らかになっていませんが、一般的には偏頭痛の発作症状は何らかの要素がきっかけとなって、脳の血管が急激に拡張することで引き起こされると考えられています。

また、注意すべき原因として、頭痛発作が怖くあらかじめ予防的に鎮痛薬などを飲みすぎていると、薬剤の副作用として頭痛が悪化して毎日のように疼痛に悩まされるようになることも見受けられます。

そのため、できる限り生活改善や鎮痛剤を使わない予防や対処法を選択することが重要なのです。

そしてその方法のひとつがマグネシウムの補充やマグネシウム不足の解消です。
実際、厚生労働省の公式サイトでも触れられている海外の研究では、

マグネシウム欠乏症は、神経伝達物質放出や血管収縮などの頭痛を助長する因子と関連している

(引用元https://www.ejim.ncgg.go.jp/pro/overseas/c03/08.html

と述べられています。こちらの内容は「マグネシウム不足と片頭痛の関係」の項目をご覧ください。

参考:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19271946/

女性に片頭痛が多い理由

片頭痛とマグネシウム

女性に片頭痛が多いのは、主に女性ホルモンの変動が原因とされています。
特にエストロゲンの急激な変動が片頭痛の引き金になることが多いです。

例えば、月経周期に伴うエストロゲンレベルの低下は、多くの女性で「月経片頭痛」を引き起こします。

また、妊娠中はエストロゲンが徐々に増加するため、多くの女性で片頭痛が改善しますが、逆に、閉経期にはホルモンの不安定さが片頭痛を悪化させることがあります​。

Sex and gender differences in migraines: a narrative review – PMC

また、世界的週刊誌Natureでは、女性は一般的にストレスの影響を受けやすく、片頭痛を引き起こす他の環境要因にも敏感であること伝えられています。

これには、長時間の労働、睡眠不足、特定の食品や添加物が含まれています。

マグネシウム不足と片頭痛の関係

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マグネシウムは、体内で非常に重要な役割を果たすミネラルであり、エネルギー代謝、神経伝達、筋肉の収縮、そして血管の拡張など、数多くの生理的プロセスに関与しています。
そして、マグネシウムが不足すると、これらの機能が正常に働かなくなり、片頭痛が発生しやすくなることが知られています。

特に、マグネシウムは脳内の神経伝達物質の調節に関与しており、血管の収縮と拡張を調整します。マグネシウムが不足すると、血管が過剰に収縮し、それが反動的に拡張することで片頭痛が引き起こされる可能性があります。また、マグネシウムはセロトニンの合成にも関与しており、セロトニンの不足が不眠やそれに不随する片頭痛の一因とされています。

さらに、マグネシウムの不足は、体内での炎症反応を引き起こす可能性があり、これが片頭痛の発症に寄与することも考えられます。

また、日常生活においてアルコール摂取や栄養状態の不良、また利尿薬の長期投与や猛暑による発汗などによってマグネシウム不足が生じますし、過労など精神的なストレスが過度にかかることによっても生体内のマグネシウムが量的に消費されて低下することが知られています。

様々なストレスを抱えやすい現代社会では、マグネシウムの低下を起こしやすい環境とも言えますので、偏頭痛を抱えた人がその症状を改善させるためには、「マグネシウム不足」を解消することが重要と考えられます。

マグネシウムで片頭痛が改善:論文紹介

【マグネシウム不足と片頭痛】原因や改善策、論文などをご紹介します

研究1
医薬品会社カイザーの研究

コロナの予防薬で日本でも有名なカイザー社による研究では、片頭痛患者に対してマグネシウムの補充が行われ、その効果が検証されました。

この実験は1997年から2000年の間に、カリフォルニア州北部のKaiser Permanenteの7つの施設で行われたもので、3歳から17歳の片頭痛を持つ子供たちを対象としました。対象者は、少なくとも4週間にわたって毎週1回以上、中程度から重度の頭痛を経験した子供たちです。

方法

子供たちは、毎日マグネシウム酸化物を9mg/kg(食事とともに1日3回に分けて摂取)またはプラセボを16週間にわたって摂取し、その効果を評価しました。

結果

研究終了時に、マグネシウム群の子供たちで頭痛の頻度が統計的に有意に減少したことが示されました(P=0.0037)。


また、マグネシウム群はプラセボ群に比べて頭痛の重症度も低下しました(P=0.0029)。

この研究は、マグネシウムが片頭痛の頻度と重症度を減少させる可能性があることを示していますが、さらなる大規模な研究が必要であるとも結論づけています​ (Kaiser Permanente Division of Research)。

研究2
マグネシウム摂取の予防効果を評価

トルコ・エルジェス大学医学部の医師たちにより、前兆のない偏頭痛(片頭痛)患者におけるマグネシウム摂取の予防効果を評価するため、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験が行われた。

方法

30人の偏頭痛患者(20〜55歳、月に2〜5回の片頭痛発作発症)に対して、600mg/日の経口クエン酸マグネシウム錠剤を3ヶ月間投与し、同時に同様の特性を持つ10人の偏頭痛患者に対してプラセボ錠剤投与。

投与前と投与開始から3ヶ月後の偏頭痛頻度、重度、視覚誘発電位、および脳単光子放射型コンピューター断層撮影の統計的パラメトリックマッピングによって評価しました。

結果

偏頭痛発作の頻度、重症度、および視覚誘発電位検査におけるP1振幅は、マグネシウム治療後に治療前の値と比較して優位に減少しました。(偏頭痛頻度 p=0.005、重症度 p<0.001、P1振幅 p <0.05)

また、前下外側部、側頭下側部および頭部の皮質血流が、マグネシウム治療後に有意に増加したが、プラセボ群においては変化が見られませんでした。

この実験により、マグネシウムが急な片頭痛へ効果的な反応を示したほか、頭部の血流にも影響を与えている可能性があるということがわかりました。

The effects of magnesium prophylaxis in migraine without aura

マグネシウムの摂取方法

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マグネシウムを効果的に摂取するためには、いくつかの方法があります。

以下では、食事、サプリメント、経皮吸収について詳しく説明します。

食事からのマグネシウム摂取

マグネシウムは、多くの食品に自然に含まれています。
特に、以下の食品はマグネシウムの優れた供給源です。

ナッツ類

アーモンドやカシューナッツ

種子類

ひまわりの種やチアシード

全粒穀物

オートミールや全粒粉パン

緑色野菜

ほうれん草やケールなどの葉物野菜

豆類

大豆やレンズ豆


食事からのマグネシウム摂取は、最も自然で安全な方法です。
ただし、現代の食生活では十分な量を摂取することが難しい場合があります。

こちらはマグネシウムの推奨摂取量を元に、1食分に必要なマグネシウムを補うための食事をAIにシミュレーションさせた画像です。

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なかなか毎日こうした食事を管理するのは難しいですし、マグネシウムだけに着目したメニューでは他の栄養素に偏りが生じてしまうこともありそうです…。

そのため、現代人が充分にマグネシウムを補うためには、食事に気を付けつつ、足りない分はサプリメントを取り入れるのがおすすめです。

サプリメントでのマグネシウム補充

マグネシウムサプリメント

マグネシウムのサプリメントは、食事だけで十分な量を摂取できない場合に有効です。

一般的に、サプリメントは錠剤やカプセルの形で提供されており、1日あたり300〜400mgの摂取が推奨されます。
ただし、サプリメントの品質には注意が必要で、添加物や防腐剤が含まれていない製品を選ぶことが重要です。

また、サプリメントは例え高濃度のマグネシウムが配合されていても、きちんと吸収されていない可能性もあります。

高濃度のサプリメントは吐き気や下痢を引き起こす可能性もあるため、サプリメントを選ぶ際には「濃度」よりも「吸収率」を意識した製品を探しましょう。

下記ではマグネシウムサプリメントに使用されるマグネシウムの種類とその違いや効果について詳しくお伝えしています。ぜひ併せてご参照ください。

マグネシウムの種類 【マグネシウムの種類】サプリで見かける10種類の効果と特徴

経皮吸収によるマグネシウム補充

経皮吸収とは、皮膚を通じてマグネシウムを吸収する方法です。

マグネシウムオイルやエプソムソルトを用いたバスソルトが一般的に使用されます。
皮膚からの吸収は、消化管を通さないため、胃腸に負担をかけずにマグネシウムを補充できる利点があります。

ただし、皮膚からマグネシウムを取り入れる際にも、品質には注意が必要です。
塗るタイプの製品は入溶剤よりも、ゆっくり時間をかけて長時間マグネシウムを経皮吸収できることがありますが、オイルやバームなど品質自体に問題がある場合もあります。

肌に負担がかかる添加物が含まれた製品は避けて、マグネシウム以外の成分にもこだわったアイテムを見つけましょう。

【マグネシウム不足と片頭痛】原因や改善策、論文などをご紹介します

下記では自然由来成分100%にこだわった、赤ちゃんの口に入っても問題のない国産のマグネシウムバームをご紹介しています。

製品選びの注意点:農薬、化学肥料、防腐剤、添加物が頭痛に与える影響

マグネシウムを摂取する際には、その供給源がどのような環境で生産されたかを考慮することが重要です。

農薬や化学肥料、防腐剤、添加物などが含まれている食品やサプリメントは、逆に頭痛の原因となる可能性があります。
肌に触れる製品は肌荒れの原因になることも…そのため、製品選びには注意が必要です。

成分表示をよく確認し、不要な添加物が含まれていないことを確認しましょう。下記では自然由来成分100%と吸収率にこだわったマグネシウムサプリメントをご紹介しています。

まとめ

マグネシウムは、片頭痛の予防と改善において重要な役割を果たすミネラルです。

日本では、多くの人々が片頭痛に悩まされており、その一因としてマグネシウム不足が考えられます。
研究によると、マグネシウムの補充は片頭痛の頻度と強度を減少させる効果があり、食事やサプリメント、経皮吸収を通じて効果的に摂取することが可能です。

ただし、マグネシウムの摂取に際しては、農薬や化学肥料、防腐剤、添加物が頭痛の原因となる可能性があるため、製品選びには十分な注意が必要です。
オーガニックで純度の高い製品を選ぶことが、片頭痛の予防と健康維持に寄与します。

以上が、マグネシウムと片頭痛に関する総合的なガイドです。
マグネシウムを適切に摂取することで、頭痛から解放され、より健康的な生活を送る一助となるでしょう。