お酒好き必見!マグネシウムとアルコールについて!

アルコール好き必見!この記事では、アルコールとマグネシウムの関係を論文を用いてお伝えしているほか、効果的な摂取タイミングを解説します。飲酒習慣がある方に役立つマグネシウム情報をまとめました!

お酒は多くの人々にとってリラックスの手段であり、社交の場での重要な要素です。しかし、過度のアルコール摂取は健康に悪影響を及ぼすことが知られています。そんな中、健康維持に役立つ成分として今注目されているのがマグネシウムです。

マグネシウムとは?

お酒好き必見!マグネシウムとアルコールについて

マグネシウムは人体にとって必須のミネラルであり、約800種類以上の酵素反応に関与しています。神経機能の正常化、筋肉の収縮、心拍の調整、免疫システムのサポートなど、多岐にわたる役割を果たしている理由は、マグネシウムが細胞に必ず必要とされる栄養素のため。

海外ではマグネシウムを説明する際に「細胞の門番」という表現をされることがあります。その理由はマグネシウムが細胞内外の栄養素や化学物質の出入りを管理するような働きをおこなっているため。

日本ではまだあまり浸透していないマグネシウムですが、ヘルスケアや栄養分子学最先端のアメリカやカナダなどでは、マグネシウムの重要性が喚起されており、スーパーやドラッグストアなどで手軽にサプリメントなどを入手できるようになっています。

参考:Magnesium in Man: Implications for Health and Disease

マグネシウムの摂取源

マグネシウムは食品から摂取することができます。主な摂取源としては、緑黄色野菜、ナッツ類、全粒穀物、豆類、魚などがあります。また、サプリメントなどの経口摂取だけでなく経皮摂取でも効果が期待できます。こちらについては後ほどさらに詳しくお伝えします。

アルコールとマグネシウムの関係

お酒好き必見!マグネシウムとアルコールについて

アルコール摂取はマグネシウムの体内レベルに大きな影響を与えます。以下に、アルコールとマグネシウムの関係について詳しく見ていきましょう。

アルコール摂取によるマグネシウム欠乏

アルコールは利尿作用があり、尿と共にマグネシウムが排出されやすくなります。その結果、慢性的なアルコール摂取者はマグネシウム不足に陥りやすくなります。マグネシウム不足が慢性かすると、マグネシウム欠乏となり、それは筋肉の痙攣、疲労感、心拍不整などの症状を引き起こします。

お酒の利尿作用とマグネシウムの関係に関する論文

複数の研究が、アルコール摂取とマグネシウム欠乏の関連性を示しています。

以下にその詳細を紹介します。

慢性的なアルコール依存症患者と血中マグネシウム濃度

医学誌にも掲載された論文「 Pathogenetic mechanisms of hypomagnesemia in alcoholic patients.」によると、慢性的なアルコール依存症患者は健康な対照群と比較して血中マグネシウム濃度が有意に低いことが確認されました。この研究では127人の慢性的にアルコールを摂取している被験者を対象とした実験で、血中と尿のマグネシウム数値を観測しました。すると、慢性的にアルコールを摂取している被験者の多くが血中のマグネシウム不足が観測された他、尿検査では高マグネシウム濃症(マグネシウムが多く排出されている)ことがわかりました。

参照:Elisaf, M., Merkouropoulos, M., Tsianos, E. V., & Siamopoulos, K. C. “Pathogenetic mechanisms of hypomagnesemia in alcoholic patients.” Journal of Trace Elements in Medicine and Biology, 1995.

アルコール摂取後の尿中マグネシウム排出量

オクスフォード大学の研究では、アルコール摂取後の尿中マグネシウム排出量が増加することが示されています。24名の健康な男女を対象に、飲酒前と飲酒24時間後の尿を検査したところ、アルコール摂取後、尿中マグネシウム排出量が平均で2〜3倍に増加。これは、アルコールが腎臓でのマグネシウム再吸収を妨げることによるものであると考えられるそうです。アルコールが腎臓でのマグネシウム排泄を促進し、体内のマグネシウムレベルを低下させるメカニズムを明らかにしています 。

参照:Magnesium in the treatment of alcohol withdrawal syndrome: a multicenter randomized controlled trial

必要なマグネシウムの摂取量

お酒好き必見!マグネシウムとアルコールについて

日本の厚生労働省によると、成人の推奨マグネシウム摂取量は以下の通りです。

  • 男性(18-29歳):340 mg/日
  • 男性(30-49歳):370 mg/日
  • 男性(50-69歳):350 mg/日
  • 男性(70歳以上):320 mg/日
  • 女性(18-29歳):270 mg/日
  • 女性(30-49歳):290 mg/日
  • 女性(50-69歳):290 mg/日
  • 女性(70歳以上):270 mg/日

ただし、多くの日本人は平均的に必要摂取量の約60‐70%ほどしか摂取できていないということもわかっており、マグネシウムが日常的に満足に摂取できていないにも関わらず、お酒を飲むことでさらにマグネシウム不足が加速してしまうことが懸念されます。

マグネシウムの摂取方法

お酒好き必見!マグネシウムとアルコールについて

アルコールを摂取する際にマグネシウムを効果的に補給する方法についても考慮が必要です。

1. 食事からの摂取

まずは、マグネシウムを豊富に含む食品を積極的に摂取することが推奨されます。特に、ナッツ類や豆類、緑黄色野菜を意識的に摂ることが重要です。

下記ではマグネシウムが豊富な食品を厚生労働省のリストを元にランキングでお伝えしています。ぜひ併せてチェックしてみてください。

マグネシウムが豊富な食べ物ランキング!実際の食事で比較してみた!

2. サプリメントの活用

食事から十分なマグネシウムを摂取できない場合は、サプリメントを活用することも一つの方法です。現代人の食生活はどうしてもマグネシウムを引き起こしやすく、またお酒を飲めばもっと不足してしまうため、サプリメントが簡単にマグネシウムを補える方法のひとつです。

ただし、実はマグネシウムは吸収されにくい成分としても知られており、サプリメントの種類や構造によっては副作用の下痢(下剤に使われる理由でもある)や胃のむかつきなどを引き起こす可能性もあるため注意が必要です。

3. 経皮吸収

経皮吸収とは、肌からマグネシウムを吸収させる方法です。昔からマグネシウムをお風呂に入れるエプソムソルトなどがメジャーな経皮吸収方法のひとつでしたが、最近はお風呂に入れない場合にも使えるバームタイプのマグネシウムも人気です。


マグネシウムは吸収されにくい成分だとお伝えしましたが、実はマグネシウムの種類によっては吸収されやすい形状のものもあります。下記記事ではマグネシウムの種類10選、徹底解説しています。ぜひ併せてご参照ください。

マグネシウムの種類 【マグネシウムの種類】サプリで見かける10種類の効果と特徴

飲酒時のマグネシウム摂取のタイミング

お酒好き必見!マグネシウムとアルコールについて

飲酒前の摂取

アルコールを摂取する前にマグネシウムを摂取することで、体内のマグネシウムレベルを維持しやすくなります。飲酒前にマグネシウムを含む食事やサプリメントを摂取することで、アルコールによるマグネシウム排出を抑える効果が期待できます。

飲酒中の摂取

飲酒中にもマグネシウムを意識して摂取することが重要です。例えば、マグネシウムを含むミネラルウォーターでお酒を割ったり、アルコール摂取中のマグネシウムが豊富な食品をおつまみにしたりしてみましょう。

飲酒後の摂取

飲酒後は、アルコールの利尿作用により失われたマグネシウムを補充するために、マグネシウムを摂取することが推奨されます。飲酒後にマグネシウムを含む食品やサプリメントを摂取することで、体内のマグネシウムレベルを回復させることができます。

まとめ

アルコールとマグネシウムの関係を理解し、適切なマグネシウム摂取を心がけることは、健康維持にとって非常に重要です。アルコール摂取者は特にマグネシウム欠乏のリスクが高いため、日常的にマグネシウムを含む食品やサプリメントを意識して摂取することが推奨されます。

健康的なライフスタイルを維持するために、マグネシウムの重要性を再認識し、積極的に取り入れていきましょう。

  1. 厚生労働省. 「日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書」.
  2. Elisaf, M., Merkouropoulos, M., Tsianos, E. V., & Siamopoulos, K. C. “Pathogenetic mechanisms of hypomagnesemia in alcoholic patients.” Journal of Trace Elements in Medicine and Biology, 1995. この研究では、アルコール依存症患者が健康な対照群と比較して血中マグネシウム濃度が低いことが示されました。
  3. Agus, Z. S., & Morad, M. “Magnesium and the heart.” Annals of Internal Medicine, 1991. この研究は、アルコール摂取後の尿中マグネシウム排出量の増加を示し、アルコールがマグネシウムの代謝に与える影響を明らかにしています。
  4. Whang, R., & Ryder, K. W. “Frequency of hypomagnesemia and hypermagnesemia. Requested vs routine.” JAMA, 1990.
  5. Rude, R. K., Gruber, H. E., Norton, H. J., & Wei, L. Y. “Reduction of dietary magnesium by only 50% for four weeks induces bone loss and alters trabecular architecture in rats.” Journal of Nutrition, 2003.
  6. Resnick, L. M., Altura, B. T., & Gupta, R. K. “Intracellular and extracellular magnesium depletion in type 2 (non-insulin-dependent) diabetes mellitus.” Diabetologia, 1993.